02-生い立ちの記録

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【生い立ちの記録 #14】Episode9|母と一緒にできることが嬉しかった

手紙の向こうに、ずっと母がいた。どんなに心細くても、その繋がりだけが、前へ進む力になっていた。話がいつも二転三転して「俺は、一緒に住まないから小さい家でいいよ」「えっ」「あれ、お母さんから聞いていなかった?」笑いながら伝えてくる。「いや、聞...
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【生い立ちの記録 #13】Episode8|あの小さな手紙のやり取り

頼れる人が、そこにいた。離れていても、小さな手紙のやり取りだけが、確かな繋がりになっていた。医者に怒られたわ病院へ行く日の朝、家の中がとてつもなく暗く重く、時間がなかなか過ぎていかなかった。前日の夜に父に突っぱねるような言い方をしてしまい、...
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【生い立ちの記録 #12】Episode7|強くいなければならなかっただけだ

話し合えないまま、それでも動き続けるしかなかった。誰にも弱さを見せられなかった。強くあろうとしていたのではなく、強くいなければならなかっただけだと、今ならわかる。決断の重さ仕事が不安定だと思っていただけなのか、今となっては。辞めさえしなけれ...
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【生い立ちの記録 #11】Episode6|なんとか、生きている

あの頃は、外のことも、内側のことも、同時に重なっていた。気づかないふりをしながら、それでもなんとか、日々をやり過ごしていた。この木になりたいと思った慎人は当時、わが家に一台しかないパソコンを使いたがり、度々私の部屋に来てはオンラインゲームを...
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【生い立ちの記録 #10】Episode5|心に引っかかった言葉

あの騒がしかった日々が、ある朝を境に静かになった。その静けさの中で、それぞれの日常が続いていった。家庭内に戦慄が走った和哉は、父と慎人と一緒に大工の仕事をすることになった。けれど数か月で別の仕事をしだし、長くは続かず転々とする日々が続き、家...
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【生い立ちの記録 #9】Episode4|ドタドタという足音

祖母を見送り、ひとつの時間が静かに終わった。その頃の家の中には、別の重さも、同時に渦巻いていた。千円ない?兄の良いところは、仕事熱心なところだ。けれど家の中では全く協力しない。多額のボーナスが入っても一人で使い込み、月末になるとお給料を使い...
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【生い立ちの記録 #8】Episode3|祖母と、家と、お墓と

唯一と呼べる人との繋がりを、静かに手放した。時間を少し戻すと、その頃の家の中にも、重なるように変化が起きていた。狭い四畳半の夜に中学を卒業してほどなく、母は月に一度、六時間かけて帰郷していた。祖父が他界してから五年近く、祖母が一人で暮らして...
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【生い立ちの記録 #7】Episode2|仔猫と手紙と、唯一の友だち

桜の季節になるたび、思い出す帰り道がある。あの頃の私は、まだ“居場所”というものを、うまく見つけられずにいた。食べきれずに残した記憶両親と新たな場所での生活が始まったが、なかなか保育所に馴染めず、ぐずってばかりいたという。保育所の頃の記憶が...
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【生い立ちの記録 #6】Episode1|離れ離れの生活

幼い頃の記憶は、断片的にしか残っていない。それでも、その遠い始まりを、ここから辿っていく。安定した家庭とは無縁だった幼少期から「安定した家庭」とは無縁だった、わが家。保育所へ行く頃、私は祖父母と三つ上の兄・広良と一緒に暮らしていた。一つ違い...
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【生い立ちの記録 序章】

ある年、実家がなくなった。悲しみというより、毎日を生きているのがやっとな日々だった。幼少期から今住む古民家に来るまで、七回の引っ越しを経験した。あまりにも普通ではないことが続いたせいか、それに慣れすぎてしまったのか、そうせざるを得なかったの...