小さな手引きについて
作品や記録を書いていると、日常ではあまり耳にしない言葉や、知っているようでいて改めて意味を尋ねられると少し迷う言葉が出てくることがあります。
そんな言葉を、本文とは少し離れたところから、ひとつずつ拾っていくために「小さな手引き」を作ることにしました。
ここでは、作品を読むために知っておきたい言葉や、記録の中で出会った用語について、その意味や背景をできるだけ分かりやすく綴っていきます。
まずは「競売の記録」に登場する、ひとつの言葉から。
言葉の意味「事件番号」とは?
この言葉から、「小さな手引き」を始めます。
競売の記録には、たびたび「事件番号」という言葉が出てきます。令和○年(ケ)第○号、といった表記です。
はじめて目にすると、「事件」という言葉に戸惑うかもしれません。ここでは、その意味を整理しておきます。
裁判所でいう「事件」は、手続きの単位
「事件」と聞くと、事故や犯罪を思い浮かべるかもしれません。しかし、裁判所でいう「事件」は、それとは意味が異なります。
裁判所が取り扱う手続きの一件一件を、まとめて「事件」と呼びます。訴訟も、調停も、競売も、すべて「事件」です。
つまり「事件」とは、手続きの単位をあらわす言葉であって、犯罪をあらわすものではありません。
「事件番号」は、手続きを識別するための番号
裁判所には、数多くの手続きが持ち込まれます。それらを区別するために、一件ごとに番号がふられます。これが「事件番号」です。
形式は「令和○年( )第○号」で、申立てのあった年・種類をあらわす記号・通し番号で構成されています。
(記号(ケ)(ヌ)の意味は、手引き02で説明します。) 番号そのものに良し悪しの意味はなく、数多くの手続きの中から特定の一件を識別するための符号です。
意味を知っておくと、記録が読みやすくなる
とはいえ、暮らしのあった家が「令和○年( )第○号」という一行で扱われることに、戸惑いを覚えるかもしれません。
その戸惑いが消えるわけではありませんが、言葉の意味を知っておけば、必要以上に身構えずに記録を読み進められます。この手引きは、そのための覚え書きです。
▷「競売の記録」本編は〈Episode01|事件番号「ヌ」〉から始まります。この番号のついた一軒の家をめぐる記録です。
言葉の意味を知ってから読み返すと、また違って見えてくるかもしれません。あわせて読んでいただけたら嬉しいです。


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