十八年間暮らした家が、「いつか土地を返す家」だったと知ったのは、その家を手放すときでした。
契約を進めたのは両親で、当時の私は二十歳になるかどうか。家の事情は何も知らないまま暮らしていました。
※【追記】本作は公開されました。記事末尾のリンクよりお求めいただけます。
知らない言葉に、囲まれていた
定期借地権。保証金。三点セット。
家を手放す過程で出会った言葉は、どれも初めて聞くものばかりでした。任意売却から競売へと進むなかで、預けていた保証金について執行官に尋ねたときには、「無理ですね」と言われました。あの一言に、目の前が暗くなったのを覚えています。
けれど後日、競売の資料——物件明細書と現況調査報告書——を読んでいて、そこに「返還される」と記されているのを見つけました。
聞いた言葉と、書かれた言葉は、違っていたのです。
対談形式という試み
この本は、対談形式でまとめました。
聞き手は私。答えてくれるのは「案内役」——対話AIです。専門家の解説書ではありません。制度を何も知らなかった当事者が、後になって一つひとつ疑問をぶつけていく。当時の私が知りたかった順番で、いちばん素朴なところから始めています。
定期借地権とは何か。なぜ更新がないのか。借家とも、普通の持ち家とも違う、その「あいだ」にある家とは。
制度の話だけではありません。返還された保証金が、なぜか二重に振り込まれていた出来事。そして、契約から五十年——その節目を、まだ誰も迎えていないという事実についても触れています。
巻末に、四つの付録
読み終えたあと、手元に残るものを添えました。
小さな用語集。よくある誤解。これからの定期借地権について、AIから見たいくつかの未来。そして、この体験から得た教訓。
制度を知ることは、難しい言葉を覚えることではありません。自分の立っている場所を、正しく地図の上に置くこと。それは、次に何かを選ぶときに、自分を守る力になります。
書籍情報
『わが家を探した記録|定期借地権の家だった』
著者 琇夏
PDF形式/A5・縦書き/全39ページ
目次・用語集つき
「わが家を探した記録」シリーズの一冊です。本編の連載「追想乃愛|空き家をめぐる記録」とあわせてお読みいただくと、より深く楽しんでいただけます。
▷ BOOTH(PDF版)
※A5・縦書き/全39ページ/目次・用語集つき

▷ Kindle版
※縦書き/文字サイズを変更できます(リフロー型)/目次つき

※本書は実体験と当時の記憶をもとに執筆した手記です。制度や契約の内容は当時の状況によるものであり、現在の制度や個別のケースとは異なる場合があります。


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