【空き家をめぐる記録】序章

03-空き家をめぐる記録

母の退院と共に、少しずつ日常が戻り始めた。

痩せ細った母と並んで歩きながら、荷物を処分し、次の暮らしへ向けて準備が動き出した。

一人では何も手につかなかったけれど、母と一緒にできることが嬉しかった。

あの頃はまだ、この先に何が待っているか知らなかった。

家を手放すことが決まってから、暮れに差し掛かっていた。とても長く重い一年だった。

次の住処を探すことになった。

それがこんなにも長い道のりになるとは、思ってもみなかった。

これは、家を求めて歩いた、もうひとつの記録である。

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03-空き家をめぐる記録
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琇夏

2025年5月「第8回 人生十人十色大賞」長編部門へ応募。
出版社からの電話をきっかけに、2026年3月より、原稿用紙3枚ずつ綴る形で投稿を始めました。
noteでは、原稿用紙には書かなかった内容もあわせて綴っています。
少しずつ、記録として残しながら、これからは物語のかたちで綴っていきます。

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